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一級建築士 白石耕平
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                   三重塔の実測調査
               
四国中央市にある興願寺の三重塔(県指定文化財)を調査した時のことを報告します。
調査の目的は断面図の作成と構造の解析でした。



五重塔や三重塔は平面寸法に対して高さが高く一見、地震に弱そうな感じがすると思います。
しかし、これだけ高い塔が地震の多い日本で建てられながら地震で倒壊したという記録は
ほとんどありません。五重塔や三重塔など層塔の塔身は各重ごとに軸部、組物、軒を順次
組み上げ、これらを最上層まで繰り返す積み上げ構造になっており、各部材も木材同士の
継手、仕口によるもので、鉄筋コンクリートのような剛構造ではなく、いわゆる柔構造になって
います。そのため地震が起きても各層が互い違いに振動し、地震のエネルギーをそらす構造
になっています。各層の柱も太さのわりに長さが短いため、倒れようとする力よりも元に戻ろうとする
復元力のほうが大きい。また組物では通肘木と繋肘木が囲字型に組まれ、これに隅行の繋肘木が
加わるので水平変形を起こすこともありません。これらが地震に強い要因と思われます。

(塔の中心に心柱が下から天辺まで立っていますが、相輪を支持するためのもので
独立して立っているため構造的な役割は果たしていないと思われます。)

愛媛県には3棟の三重塔が残されており、一番古いのは石手寺の三重塔で鎌倉後期に建立され、
国の重要文化財に指定されいます。
西山興隆寺の三重塔は天保7年(1836)建立で県下では一番新しい。
そして興願寺の三重塔は貞享元年(1684)の建立で当初は徳島県の大龍寺に建てられたものですが、
昭和32年に興願寺に移築されました。組物は層塔の定法どおり各重とも三手先、軒は二軒。
化粧垂木は一重は扇垂木、二重、三重は平行繁垂木となっています。


興願寺の塔の特徴は、組上げの工法は四天柱は「櫓工法」ですが、側柱は繋肘木上の柱盤に立ち、
これを「長柱工法」というそうです。つまり、櫓工法と長柱工法が混在した構造となっています。
そして通常、塔には最上層の露盤下に佐儀長柱があるのですが、興願寺の塔は佐儀長柱はなく、
三層目の四天柱が露盤下まで伸び、佐儀長柱の構造も兼ねていました。

いずれにしても県下に存在する塔として貴重であり、後世に伝えていくべき文化財のひとつです。

                    長州大工の足跡

『長州大工』とは屋代嶋(現山口県周防大島町)から海を渡り、伊予や土佐の村々に出稼ぎし、
神社や寺の建築普請にあたった大工達のことです。
江戸時代(寛政)〜大正時代まで、およそ130年間にわたって愛媛県、高知県の各地に
足跡を残しています。
『長州大工』と呼称される彼らの手掛けた寺社建築の特徴・・・彫り物(彫刻)にある。
特に建築という存在感があり、人の目に触れるものを造る人間は大衆の目を意識する。名を上げようとする職人の意識を考えれば長州大工の選んだ生きる道は大衆の支持を受け易い表現として建物を飾る彫刻だったのでしょう。
愛媛県における長州大工の手掛けた寺社建築は80件余り。
その中でも「門井友祐」は代表的な人物で手掛けた寺社建築は図抜けて多く16件。元々、大工棟梁として活躍していたが、次第に彫刻にのめり込み、やがて「彫刻師 門井友祐」として作品を残していく。 今治市にも足跡を残しており、高橋の大須伎神社(大正2年)と杣田の真名井神社(大正10年)
の2件を手掛けている。先日、犬伏武彦教授と共に大須伎神社に調査に行きましたところ、神社総代の方々や新聞社の方も来られておりました。大須伎神社は平安時代から続く由緒ある神社で、神社の再建工事に懸ける当時の村の人々や職人の意気込みが感じられるほどの完成度の高い彫刻でした。
まず目を引いたのは、唐破風にまで施された龍の彫刻。牡丹に唐獅子、瓢箪から駒、 松に鷹、竹に虎、虹梁の菊水、向拝木鼻の亀、兎毛通しの鶴など、この辺りではお目にかかれない素晴らしい彫刻である。当時、門井友祐は45歳。職人として脂ののりきった頃でしょう。



                           大須伎神社


        「龍」、「鶴」、「亀」、「菊水」など長寿の象徴の画題で彫刻が施されている
    大須伎神社拝殿 大正2年 「彫刻師 門井友祐」  棟札、蟇股裏の刻銘により確認
   

                今治市 杣田 真名井神社の彫刻

   門井友祐が好んだと思われる画題の「龍」           浮彫で施された虹梁
   真名井神社拝殿 大正10年 「彫刻師 門井友祐」  棟札、蟇股裏の刻銘により確認

現在の調査では真名井神社が愛媛における長州大工最後の仕事。記念碑的な建築彫刻といえる。
今治市周辺に目を向けると、旧丹原町の西山興隆寺・仁王門(大正7年)、旧川内町の金毘羅寺・本堂
などがある。(いずれも彫刻師 門井友祐としての作品)
長州大工の象徴ともいえる門井友祐が手掛けた渾身の建築彫刻を是非見ていただきたい。

                                 参考文献
                                 四国に遺した長州大工の建築文化(犬伏武彦)




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